Photo :Antoine D’agata/Magnum Photos/AFLO
Issue#02
NO BORDER, NO NATION
世界はインターネットの出現により、ますますグローバル化が進み、ボーダレスな社会へ変容したと言われています。 しかし、現実的には国境線で仕切られた国家が私たちの日常生活にとって大きな単位となっています。2020年は、新 型コロナウイルスの感染拡大を世界規模で経験し、私たちは国家を強く意識したのではないでしょうか? 一方、世界では貧しい国から豊かな国へ多くの人が国境を越えていきます。国際連合児童基金(UNICEF)によると 現在、この地球上には、7億人を超える極度の貧困状態(1日あたり1.90米ドル以下)で暮らしている人がいます。そ の理由は、戦争や紛争による難民、気候変動による生活の脅威や人種差別などによる労働問題など様々な要因が挙げ られます。それらの人々が平穏で安定した暮らしを求めて移動することが「移民問題」として現れてきます。 「NO BORDER, NO NATION」という言葉は、私たちが国家という枠組みから逃れられない事実であることを教えて くれます。そして、ボーダレスな社会であっても国境を超えることは差別や虐待、そして時には虐殺を生み出すこと を知るきっかけとなります。 Issue#02のテーマは「NO BORDER, NO NATION」です。私たちはこのテーマを通して、なくならない人種差別の理 由に目を向け、私たちができることを考えてみたいと思います。

世界で最も貧しいスラム街

人が住まなくなり数十年が経過している集合住宅なのか、はたまた戦争で被害を受けた集合住宅なのか。
いずれにしても人が住んでいるとは思えないこの集合住宅には、住んでいる人々がいる。ダガタは、2013年スロバキアの東部コシツェでルーマニアを追われたロマ民族が暮らす人々を撮影した。
この地でダガダが出会った12歳の幼い少女は、ルーマニアで差別を受け、強制収容所で貧困にあえぎ死を待つ人々の様子を語った。彼女は幼くしてすでに絶望の淵にいた。
ロマ民族は第二次世界大戦でナチス・ドイツに迫害を受け、そして社会主義国家として再出発したルーマニアでは同化政策下で差別や虐待を受けてきた。差別を恐れて公的な登録をしないために、医療等の公的サービスを受けられない者、非正規の仕事に就かざるを得ない者など貧困にあえぐロマ民族は周辺の東ヨーロッパの国々に向けて国境を越えた。

Issue#02
NN002
Online store
C L I C K C L I C K